特定計量器は基準器による検査義務がある
電力量計や照度計などは、取引や証明に使用する特定計量器です。これら特定計量器は、基準器を用いて定期的に校正を行うことが計量法により義務づけられているのはご存じの通りです。検査器にも種類がありそれぞれ有効期間が異なりますが、特定計量器の検定の際、信頼性を確保維持するためには必須となる存在なのは言うまでもありません。検定を行う機関はもちろんですが、特定計量器の製造や修理を行う事業者にも必須のものですし、検査設備を備えることは法律でも義務づけられているのは周知の通りでしょう。使用する事業者であれば計量法に基づく周期で定期的な検査を行うのは当然のことですが、その際には基準器の性能と校正(転正)の必要性を常に認識しておく必要があります。
なぜ検査が必要なのかあらためて認識を
それでは、電力量計などの特定計量器にはなぜ校正(較正)が必要なのか、あらためて考えてみましょう。答えはとてもシンプルで、測定器が不確かでは、顧客と供給者との商取引が正当に行われなくなるからです。顧客が要求する品質が供給されているか、そもそも規格や規制に適合している証明ができるかは、すべて測定器にゆだねられています。電力で言えば、契約者が対価を支払うだけの電気サービスが本当に提供されているかどうかを証明する手立てになります。電気は目に見える品物ではありませんから、数値が商取引のすべてと言っても過言ではないでしょう。契約の内容に関しても、公的に発表する測定結果にしても、数値に信頼性がなければ何を言っても説得力は生まれません。特に目には見えない商品の品質を一定レベルで管理し、その性能を維持することで社会的信頼を得るためには、較正は必要不可欠な礎と言えるものなのです。
世界共通の尺度をもつ標準器が信頼につながる
計量標準を確かにするためには、世界共通の尺度に合致させる必要があります。これは電流や電圧など電気分野に限ったことではありませんが、測定器の性能や特性は経年変化や使用状況によって変化することはご存じの通りです。もちろん室内と屋内では温湿度変化も違いますし、使用頻度によってコネクタの摩耗状態も異なります。厳密な検査周期の適正は環境によって異なりますが、一定周期による調整が最適解であることは間違いありません。ちなみに、いずれも法令上の行為ですが、校正は計量法、較正は電波法に基づくものです。較正にはズレの測定だけでなく調整が含まれるのが特徴です。いずれにしても国際標準にトレーサビリティのある計測器を用い、測定エラーの要因を考え可能であれば取り除く努力が必要です。